徳島で下処理をされた瓜が我が社の工場にやってきました。
いよいよ酒粕に漬けていく作業となります。
塩漬けにされた瓜です。
この状態だと、塩度は20%近くありますので
とっても塩辛いです。 瓜の中の水分が抜けて塩分が中に入って、腐敗を防止しています。
それに色も変わりましたね。緑色からちょっと黄色くなりました。
次は選別作業です。
まず蔓のついているヘタを切り落とします。 そして重量によって選別します。 一般的なもので400g~500g前後、大きなものは1kgを越えるものもあります。しかしながら最近は小さい物も好まれるようです。核家族化が進んでいるせいでしょう。 いよいよ酒粕に漬けていきます。 瓜の腹に酒粕を塗り、それをひとつひとつ重ねていきます。 ここで使う酒粕は、1~2度使用した「なれた酒粕」を使います。いきなり新しい酒粕を使うとどういうわけか、腐ってしまいます。 「少しづつ塩を抜く」というのが上手に漬けるポイントのようです
ひたすら手作業です。
粕を塗っては漬け、
漬けては塗り、・・・この作業を繰り返します。
ただ一言
根気が勝負!
漬け終わったらこの状態で約1ヶ月以上、粕と瓜がなれるまで寝かせておきます。
1ヶ月以上漬けるとこんな感じです。少し茶色になりました。 塩漬けされた瓜の、塩辛い水分が少し排出され、逆に酒粕の旨みなどの成分が少し入りました。 当社ではここでもう一度ぬき粕(一度使った酒粕)で、下漬けします。この時点で酒粕に十分慣らしておくわけです。 下漬けをして更に1ヶ月以上寝かしておきます。 奈良漬完成の道はまだまだ遠い・・・。
ここでちょっと休憩して、漬物を漬ける容器の話です。
まずイメージとして浮かぶのは木でできた「樽」ですね。
はい、このページの管理人であり辻漬物の代表の私、つじやん初登場!
う~んなかなかのハンサムガイですねぇ(自画自賛)。
私が左手に抱えているのが1斗樽(約18リットル)の木樽です。
私がまだ汚れを知らない幼少のころ(笑)、桶屋の職人さんが来てひとつひとつ手作りしていたのを覚えています。昭和40年前半の話です。
ま容量800リットル。家庭用の一般的な浴槽の4倍以上です。
重量にして約1トン(酒粕込み)の奈良漬が漬けれます。
ほとんどプールって感ですね。
人間だって漬けれます。
というのは冗談ですが、底のほうの漬けこみはほとんどこんな状態です。
2度の下漬けが終わると次からは新しい酒粕に漬け替えします。 引き続き瓜の塩分を抜くと同時に酒粕の旨み、香りをつける工程です。中漬と呼ばれる工程です。 ここで使う酒粕は初めて新しい一度も使っていない酒粕を使います。 非常に香りが高いもので、芳醇な香りがあたり一面に漂います。
はいここで酒粕の話です。 ←皆さんは酒粕というとこういうのを想像されるでしょう。 これは俗に言う板粕とかバラ粕と呼ばれるものです。 甘酒を造ったり、関西の方で粕汁などにするのはこれですね。
で、奈良漬に使う酒粕というのはこういうのです。
ペースト状になってます。しかも色も茶色です。まるでお味噌です。
とても同じ物とは思えませんが、実は同じ物だったりします。
何が彼をそうさせたのか?!(笑)
それは熟成です。
2~4月に絞った酒粕をタンクに貯蔵し、半年以上寝かせます。
そうすると形状も変わり、自然と発色し香りもふくよかになります。
奈良漬の製造とは、酒粕に漬けては寝かせ、漬かったら粕を拭い取り、新しい酒粕に漬け、漬けては寝かせ・・・・の繰り返しです。 当社では6~7回の漬け替えをおこないます。 漬け替えの度に1ヶ月以上寝かせるため、その製造期間は最低でも半年、長いものでは2年近くかかります。えらく時間のかかるものでしょ。 さあどんどん漬け替えていきましょう。中漬後さらに1~2ヶ月置きました。 かなり色が奈良漬らしくなってきましたね。
次はいよいよ味付けします。酒粕に砂糖、みりん、糖蜜などを混ぜ、その粕で上漬けします。
これらの調味料の配合が味の決め手となります。
当然企業秘密ですね。ただ言えるのは・・・
「甘いくらいが美味い」
なので砂糖は多い目です。それに厳選されたものを使います。
お砂糖屋さん曰く、「2番目に良いお砂糖」といわれるキザラを使ってます。 みりんも味の決め手です。
厳選されたものを使うことによってコクがでます。 更に月日は流れやっと・・・
さらに2度漬け替えをしました。
写真がヘタなので綺麗な色が出ていませんが「べっ甲色」になりました